私たちは生きている中で様々な人々と出会い、時には誰かと衝突することもありますよね。人間関係における衝突や摩擦、そして予想外の出来事というのは、少なからず人の心をザワザワと動揺させるものです。
特に心配性の人にはそれらがとても大きなショックのように感じられるかもしれません。あるいは、特にこれといって何もないのに相手の心を必要以上に詮索し、無意味な自己嫌悪にさいなまれ、相手に対して漠然とした苛立ちを覚えてしまう事でしょう。
ですが、人と関わっている中で「どういうわけだかあの人は何があっても動じないところがあるなぁ」と不思議に思えるような人も見かけますよね。
そんなふうに何があっても涼しい表情で、まるで何事も無かったかのように普段通り淡々と過ごしている人、そういった人の多くは人生をシンプルに生きている人なのです。そこで今回はシンプルに生きる為に必要な事をお伝えすると共にシンプルに生きている人達に共通する5つの事についてお話しします。
シンプルに生きる為に必要な事とは
シンプルに生きる為には、これまで持っていた固定観念を捨てる事が一番です。「これはこうしなくてはならない」「こう生きるべきだ」といった事を決めつけず、あなた自身が本当にしたい事をする為に動く事がポイントになります。
ですのでまずはじめにシンプルに生きる為に必要な事についてお話しします。
心から信頼している人との人間関係だけを大切にする
シンプルに生きるには、交友関係を広げすぎない事が大切です。学校や職場において交友関係が広い人は、知り合いが多いという点では楽しいかもしれませんが、交友関係が広ければ広いほど、他人にかける時間やお金も比例していくように増えてしまいます。
シンプルに生きる生活をしたいと感じたら、あなたが今築いている人間関係が本当に必要なものであるかを見直してみましょう。一緒にいて心から楽しめる人とだけ、狭く深く付き合うよう意識する事によって、面倒な付き合いから心を解放する事が出来ます。
「会社の付き合いだから」「あの人がクラスの人気者だから」という理由だけで付き合っていても、あなた自身にはメリットがありません。
人脈や名声といった要素を気にしすぎるがあまり、あなたの意見や気持ちを抑え込んでしまうのは勿体ない事です。
余計な買い物を控える
シンプルに生きるには、余計な買い物をしないと意識することも大切です。
例えば、ストックを買い込んでしまったり、「今だけ限定で10%増量だから、とりあえず買っておく」といった事が無いように意識しましょう。
買い物をする際には、「今買わないと困る」という物だけを買うように習慣づけると、シンプルに生きる事が可能になります。そのことによって、部屋が散らかるのを防ぐだけでなく、物欲も抑えられます。
逆に、思いのままに買い物をしてしまうと、「物がないと落ち着かない」「物が無いと心が満たされない」という心理が働いてしまい、お金やスペースを浪費してしまうという現象が起きてしまいます。
ひとつひとつの物事にじっくりと向き合う
シンプルに生きるには、スローペースを心がけて行動する事もひとつの方法です。
例えば歩くスピードを遅くすれば目の前の景色をじっくりと見つめる事が出来ます。また、食事をする際にもよく噛んで食べる事で、料理の味を堪能する事が出来ます。
逆に時間に余裕が無いからといって食事をササっと済ませてしまったり、自分磨きの為に時間を充てる事が出来ない状況は、あまり魅力的ではありません。
心に余裕が無くなると、せっかちになって、周りの人の動きを見てイライラしたり、焦りを感じる性格になってしまいます。
現代では効率よく、速いスピードで動く事が求められる傾向がありますが、必ずしも全ての物が「速ければ良い」という訳ではありません。手っ取り早く済ませてしまう事は、対応の早さは評価されますが、どこか温かみが無い印象があるのではないでしょうか。
何気ない日常を楽しむ
シンプルに生きるには、何気ない日常を「楽しむ」という事も大切です。例えば、「毎日同じ時間の同じ電車に乗って、いつも同じランチを食べている…」という人は、安定しているという点では良いかもしれませんが、それがずっと続くと新鮮味が無くなり、面白いと感じなくなってしまいますよね。
しかし、それを「同じ事の繰り返し」と決めつけるのではなく、周りをよく観察していくと、毎日徐々に変化している部分もあるはずです。
四季折々に花が咲く景色や、毎日同じ車両に乗っている人の服装、ちょっとした気温の変化などを敏感に感じ取り、それを小さな幸せとして捉える事が出来れば、心が満たされます。
平凡に思っていた事でも、よく観察してみると、小さな幸せがすぐそばにあるはずです。それらを発見して楽しむ事が、シンプルに生きる為の近道となります。
シンプルに生きると決めたらおこなってほしい3つの事
シンプルに生きる為には、あなた自身の周りを見渡して、本当に必要なものとそうでないものを見極める事が大切です。それは、物だけでなく、人間関係や仕事にも同じ事が当てはまります。
ですので次はシンプルに生きると決めたら必ず行ってほしい3つの事についてお話します。
部屋の掃除をして、不要な物を処分する
シンプルに生きると決めたらまず始めて欲しい事は、「部屋の掃除」です。あなたの部屋には今、どのくらいの物があるかを把握できていますか。おそらくほとんどの方が、自分の持っている物の総量を把握しておらず、全ての物がどこにあるのか、ひとつひとつ説明できるまでは管理されていないはずです。
シンプルに生きる事と、不要な物を取り除く事と密接な関係にあります。
例えば、掃除を始めようと思っても、「この本懐かしいな!久しぶりに読んでみようかな」と手に取ってしまい、結局掃除が進まないという事が頻繁にありますよね。
また、「この機械はもう3年くらい使っていないけれど、まだ使うかもしれないから一応取っておこうかな」と言って、機能するかどうか分からない物を無理矢理保存している人も多いのではないでしょうか。
こういったため込みが起きないようにしておけば、あなたが使いたい時間やスペースを、本当に使いたい事に充てられるようになります。
参考までに簡単な断捨離の方法としては
物をカテゴリー別に分けてから、服→本→書類→小物→思い出の品の順番に作業していく方法があります。
服は「破けていたり、汚れが目立っているから捨てよう」と、他の物よりも簡単に手放す事が出来るカテゴリーです。
簡単に判断出来るものから判断することによって、あなたが本当に必要な物と不要な物を見極める力が徐々に鍛えらえていきます。
無駄な付き合いを減らす
あなたにとって必要なものと不要なものを見極める作業は、物だけでなく、人間関係にも当てはめる事が出来ます。
例えば、「彼との付き合いは長いけれど、実は最近ときめかない」と感じていたり、「あの人と仲良くしておけば職場で孤立しないから、とりあえず媚を売っているけれど、実は苦手なんだよね」と、打算で動いてしまったという事はありませんか?
無理矢理築いた人間関係は、あなた自身にとって心の負担となります。ズルズルと付き合うくらいであれば、いっその事その関係を断ち切る勇気を持ちましょう。
シンプルに生きる事で、時間やお金を無駄にせずに済むというメリットが生まれます。今まで誘われるがままに遊びに行っていた方や、好きではない相手に食事を奢っていた方は、これまで他人に費やしていたものを自分の為に充てる事が出来るようになるのです。
「こだわり」をもって毎日を過ごす
シンプルに生きる為には、あなた自身の「こだわり」を持つ事も大切です。例えば、「どんなに忙しくても残業は絶対にしない」とか、「外食をした時には正直に好きな物を選んで食べる」といった事です。
そのようなルールを自分の中で設ける事によって、他人に振り回されたり、気を遣う事が無くなります。それによって数ある選択肢の中で迷う事も無くなり、ベストな方法を見極める力がついていきます。
こだわりを大切にすれば、それ以外の事は全て不要になります。シンプルに生きる為には、あなたなりのルールを定着させることが大切です。
生きていく上で大切なものは、お金や愛、人間関係、名声、時間だけでなく、それ以外の要素も挙げられ、個人によって考え方は異なります。
「これだけは譲れない」という要素を持ち、それを最優先に大切にすることがポイントです。
シンプルに生きる人が持つ5つの共通点
では、シンプルに生きる為になにをすれば良いのかがわかってきた所で、ここからはシンプルに生きる人が持っている5つの共通点についてお話しします。
シンプルに生きる人には決断力がある
大事な選択をするとき、シンプルに生きる人というのは驚くほどスパッと決断します。とにかくはっきりしていて、優柔不断という言葉とはほとんど無縁です。
では、なぜその人たちは深く思い悩まずスパッと決めることができるのでしょうか。それは自分の進むべき道や自分の意思というものを、シンプルに生きる人は日頃から明確に把握し、頭の中ですっきりと整理できているからなのです。
逆に、これからの展望などが曖昧で、頭の中がいろいろな情報で散らかっている状態のまま決断を迫られても、おそらくなかなか答えが出せないですよね。
それどころか場合によっては、整理がついていない思考で複雑に考えすぎた結果、決断を誤ってしまうなんて事態もあるでしょう。
そして大事な決断のときこそ冷静に落ち着いて、なるべくシンプルに思考を巡らせましょう。
シンプルに生きる人は他人の意見に振り回されない
良いことでも悪いことでも、周りから何かしら賞賛あるいは批判をされることもたくさんありますよね。
例えば仕事という場面一つ取っても、昇給や昇進が決まって上司や家族に喜ばれたり褒められたり、あるいは大きなミスをしてしまって叱られてしまったりなど、生きていれば必ず周りの意見や言葉などが容赦無く降りかかってくる事でしょう。
そんなとき、シンプルに生きることができる人というのは「あの人はこう言ったけれど、結局自分は自分、あの人はあの人」というように、他人の意見や言葉を丸ごと鵜呑みにしないという特徴があるのです。
ですが、そうかといってシンプルに生きることができる人たちは、他人の意見をまったく受け入れないというわけではありません。
相手からもらった意見の中で、自分の前進のために役立つ情報がどれなのかを上手く見極めた上で、自分のためになる内容についてはしっかりと受け入れているのです。
そして自分の前進には必要無いと判断した情報は「あくまで他人の主観」と捉えるので、必然的に「他人は他人、自分は自分」と区別し、他人の意見に振り回されることも少ないのです。
自分のことを向上させてくれそうな意見はしっかりと聞き、あとは右から左に受け流してしまいましょう。
シンプルに生きる人は他人に嫌われることを恐れない
複雑に生きる人と比べると、シンプルに生きることができる人というのは、「寂しい」とか「惨めだ」というような負の感情を抱くことが少ないです。
そもそも感情的になること自体少なく、あまりにも感情がシンプル過ぎて「何だか素っ気無い人だな」と思えてくるかもしれません。
例えば人間関係においては、シンプルに生きる人は自分を飾らず、いつも素の自分のままでいることが多いのです。
具体的には、お世辞を言ったり自分を過度にアピールしたりなど、人から気に入られようという言動や行動をとりません。つまりそれは「他人に嫌われる」ということに対してそれほど恐れを感じていないということなのです。
嫌われることを恐れていると無意識に気を遣ってしまい、だんだんと人間関係に疲れてしまいますよね。
そして、嫌われたくないという意識があるほど「もしかして自分はあの人に嫌われている?」などと余計な考えが浮かび、疑り深くなって結局本当に嫌われてしまうなんてこともあるでしょう。しかし、シンプルに生きることができる人というのは、そのような余計な思考とも人間関係のいざこざとも、ほとんど無縁なのです。
そして「類は友を呼ぶ」の通り、なぜだか自然と寄ってくる人々もシンプルな人が多く、人間関係自体もよりシンプルで良好なものになってゆくのです。これはちょっと羨ましいですよね。
他人から嫌われるのはつらいことかもしれませんが、素の自分を消して無理をしてまで好かれるというのもなかなかに苦しいものです。
そう考えると、思い切って「まあ、嫌われてもいいや、何とかなる」と割り切ってしまうのも悪くはないような気がしてきますよね。
シンプルに生きる人は出来事をありのままに捉える
日常を送っていると、嬉しいことや悲しいことなど、実にいろいろな出来事が起こりますよね。そして、時にはその裏を知りたくなってしまうようなこともあるものです。
例えば、嬉しい出来事があったり他人から褒められたりしたとき「褒めてもらったけれどただのお世辞なのかも」とか「何かこの出来事には自分の知らない裏側があるに違いない」などという根拠の無い心配がふと頭によぎってしまうこともありますよね。
さらにこれが予想外の出来事、しかもネガティブな出来事だったとしたら、きっと裏を探りすぎるあまり混乱し、場合によっては人間不信にまで陥ってしまう事でしょう。
シンプルに生きる人は、そんな不測の事態が起こったとき「ああ、今これはこういう状況なのか」とすんなり捉えて必要以上に悩まないのです。
物事の裏を探らないというのは口で言うには簡単でも、実際は難しく思えてしまうかもしれません。でもこれは心の持ちようでいくらでも何とかなるものです。
つまり「大事なのは裏ではなく表」という心を持っているということなのです。
よくよく考えてみると、最も根拠があるのは今起こっている表側だけなのです。裏なんてものは所詮見えていないわけですし、表の事実と比べれば裏の憶測なんて大した根拠も無いのです。
そんな根拠の無い裏ばかりに集中するというのは、シンプルに生きることができる人からすれば「無駄なこと」なのです。
そう考えて、物事の見方を少し変えてみるというのも、シンプルに生きるための大きな一歩です。
シンプルに生きる人は過去と未来に執着しない
当たり前といえば当たり前な話ですが、この世界には時間の流れが存在しますよね。
時間の流れは大きく分ければ、過去、現在、未来の3つに分ける事ができます。そしてその中で、人は特に過去のことを悔やんだり、遠い未来に不安を覚えたりするものです。
「昨日の自分はなんて情けないことをしてしまったのだろう」とか「明日の仕事は上手くいくだろうか」など、過去や未来への思考で頭の中がいっぱいになってしまうことも多くあるものです。
ですが、シンプルに生きる人は基本的に過去や未来よりも現在を大切にするという特徴があるので、必要以上に後悔したり不安になったりすることが少ないのです。
なぜかというと過去や未来というのは、結局はあれこれと憶測をすることしかできないものですよね。
過去と未来への執着が無いというのは、実に気楽でシンプルな生き方です。心の重荷も随分と減ることでしょう。
そして過去と未来への執着をやめたとき、行動して変えることができるのはまさに現在だと気づくことができるのです。
とはいえ実際、過去や未来を手放すということは簡単ではないですよね。でも大丈夫、いきなり一気に執着をやめようとせず、日々少しずつ変わっていけばそれで良いのです。
例えば、昔にやり残したことを悔やんでいるのならば、今それに取り組めば良いのですし、将来が不安であれば今それに備えて何かすれば良いのです。
そのようにして、少しずつ「現在」に意識を向けるように努めていると、だんだんと「今が一番重要」という思考が構築されて、それこそがシンプルに生きる道につながっていきますよ。
以上、シンプルに生きるというのは一見奥が深く、難しそうなことのように思えてしまうかもしれません。しかし、元々複雑だった生き方をシンプルにするというのは、必要の無い思考や感情を「ただ手放す」という、たったそれだけの作業に過ぎないのです。
生きていれば誰しもいろいろな出来事や人に出会います。そんなとき、シンプルな方法で、その一つ一つを自分の中で捉えて消化できれば、同じ状況であったとしても生き方というのはいくらでも楽な状態に変えることができるのです。
たった一度きりの人生を複雑に考えすぎて、窮屈な思いをしている時間というのはあまりにももったいないですよね。もう少し肩の力を抜いて、ちょっと立ち止まって自分自身を見つめ、それと同時に、周りの状況についても冷静に見つめてみましょう。
シンプルに生きるヒントというのは、実は案外身近なところにたくさん転がっているものです。そして、シンプルに生きようと努めること自体もあまり堅苦しく考えないことが大切ですから、日々焦らず少しずつ、シンプルで快適な生き方を追求していきましょう。