紫水晶とも呼ばれ、神秘的な輝きを放つアメジスト。大人の上質感が漂う色味が人気で、ブレスレットやアメジストドームもよく売られていますよね。2月の誕生石としても定められているので、親しみを感じる方も多いのではないでしょうか。
そんなアメジストには素敵な言い伝えがあり、ギリシャ神話や聖書にも登場します。また、日本や中国ではその美しい色を高貴なものとみなし、非常に価値のあるパワーストーンとして扱われていたようです。どのような意味が込められているのか、気になりますよね。
そこで今回は、アメジストが持つ意味と、それにまつわるエピソードをお伝えします。パワーストーンに関心を抱いている方も、ぜひどのような効果があるのかチェックしてみてください。
お酒に関するエピソードがギリシャ神話に登場する
数あるパワーストーンの中でもメジャーなアメジストですが、その本当の効果を詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。アメジストという名前の語源はギリシャ語で、「amethystos(お酒に酔わない)」からきています。二日酔いに効く石としても有名で、ブレスレットを身に付けているサラリーマンの方を多く目にしますよね。実際に、アメジストにまつわる言い伝えにはギリシャ神話の少し切ないエピソードがあります。
お酒の神様であるバッカスが、ある時お酒に酔い、「今から最初に遭遇した人物を猛獣に襲わせる」という、いたずらをしようとしました。そこで出会ったのは、月の女神の女官として仕えていたアメジストという女性でした。バッカスは邪な気持ちで猛獣にそのアメジストを襲わせようとしますが、そのとき、月の女神がいたずらに気付きます。そしてアメジストの姿を純白の水晶へ一瞬にして変えました。
そうしてバッカスはお酒の酔いがさめ、自分がしようとしていたことを深く反省しました。水晶に葡萄酒を注ぐことによって、紫色に染まり、あの「アメジスト」という石がつくられました。
このようなエピソードがアメジストにあることを知ると、バッカスの罪が反面教師になります。ついつい飲みすぎてしまうお酒も「ほどほどに楽しもう」と、気持ちが引き締まる感じがしますよね。
高貴な色に価値があり、日本でも大切にされていた
キリスト教において、アメジストは「司教の石」として使われています。宗教にまつわる儀式の際に用いられ、多くの人がその指輪を身に付けていました。
また、日本においても紫色は高貴な色で、特別な存在にしか身に付けることを許されていませんでした。聖徳太子が定めたことで有名な「冠位十二階」においても最高位の色が、アメジストと同じ紫色です。同じアジアに位置する中国でも、紫色は皇帝しか身に付けることが許可されていませんでした。
外国だけでなく、私たちの住む国においても、アメジストの紫色にはどこか神聖な魅力が感じられていたようです。はるか昔から特別な意味を持っていた紫色が、現代ではブレスレットやペンダントで身近に感じられるのは嬉しい事ですよね。
関連するエピソードが聖書にも登場する
世界のベストセラーともいわれている聖書にも、アメジストに関するエピソードがいくつか登場しています。
例えば旧約聖書の出エジプト記には、海を二つに分断させて民を脱出させたというモーセの兄、アロンに「裁きの胸当てを織りなさい」と書いている部分があります。どのような形と配列で作るのかという点がその後記述されており、胸当てにはエメラルドやラピスラズリなど12種類の石を用いるよう指示されています。その12種類の石は、神の民であるイスラエル人の12部族を指すとして、アメジストも指定されています。
また、新約聖書のヨハネの黙示録には、最後の審判の後、聖なる都エルサレムに建てられるお城の土台の素材としてアメジストが登場しています。12の城壁の土台石の装飾として、アメジストは第十二の石として使われていました。
スピリチュアル的なパワーとして、持ち主の身を守る「魔よけ」の効果もあるそうなので、神様の力を敬虔に信じた民が使っていた点も、理にかなっています。かつて神の民が大切に扱い、胸当てやお城の素材として使っていたと知ると、いかにアメジストが神聖で価値のあるものとして使われていたかがわかりますよね。
今回は、アメジストが持つ意味と、宝石にまつわる素敵な言い伝えについてお伝えしました。アメジストの紫色は、現代の私たちにとってもどこかミステリアスな印象で、その魅力にとりつかれてしまいますよね。
高貴な色とされ、神聖で価値のあるものとみなしていた点は、はるか昔の人々も同じだったのでしょう。アメジストが宗教儀式にも使われていたことを知ると、いかにその存在が高貴なものであるかが分かります。
二日酔いに効く石としても人気があるパワーストーンであり、由来となるギリシャ神話のお酒の神様にまつわるお話もピックアップしました。接待や飲み会への参加が多いビジネスマンの方も、呑みすぎを防ぐお守りとして身に付けてみてはいかがでしょうか。