心理学の大学で後悔しないために知っておくべき基本情報

心理学の大学で後悔しないために知っておくべき基本情報

老若男女問わず、心理学に興味を持ち学びたいという人は増えています。実際に心理学を学ぶには、放送大学や通信教育で学ぶ、心理学検定を受けるという手があります。

それからもう1つ、『心理学の大学に通う』という方法があります。こちらは現在進路を考えている学生さんの方が実現の可能性が高い手段と言えますが、もちろん心理学の大学入試に合格すれば社会人でも可能です。

諸費用や生活との兼ね合いを考えると負担は大きいものの、本格的に学びなおしたいと頑張っている人もいます。そこで今回は、心理学を本気で学びたい人のために、心理学とはどのようなものなのかという基礎知識から、心理学を専攻する事で取得できる資格の種類、心理学の大学を卒業した先の進路についてなどをお伝えします。

 

心理学の大学で後悔しないために
知っておくべき基本情報

 

 

心理学では具体的にどんなことを学ぶのか知りましょう。

「心理学の大学に入れたは良いものの、いざ授業を受けてみたらついていけない」とならないためにも、ここで実際の心理学について把握しておきましょう。まず多くの人が持っているのが『心理学を知る事で人の心が読みやすくなる』というイメージです。

心理テストやカウンセリングが広まっている故に、精神的な面ばかりが印象に残りやすい部分もありますが、『心理学は占いでもなければ誰かの心を読み取るものでもありません』この部分を履き違えていると入学早々後悔する事になるでしょう。

心理学とは平たく言えば『統計学』であり『科学』です。故に統計の授業は必須です。具体的な講義内容は専攻によって変わってきますが、だいたい共通しているのは数理的なデータ解析を中心とした理系要素の強い授業、歴史、人文学、心理学実験などといったところでしょうか。

もっとも、講義ではきちんと基礎から教えてはくれます。しかし理系の要素も強い学問なのだという認識を初めから持っているか否かで、あなた自身の知識の吸収の幅は大きく異なってきます。

 

16に分類されている心理学について知っておきましょう。

心理学を学ぶために大学を目指すあなたに質問です。「あなたは、具体的にどんな心理学を学びたいのですか?」心理学は16種類に分類されています。それぞれについて知っておきましょう。

【臨床心理学】
心理学、と聞いて多くの人がイメージするのがこれでしょう。臨床心理学とは『悩みや問題を抱えた人を援助するための学問』です。精神医学的な知識などの他、主に心理学的検査や診断、心理療法について学びます。他の心理学とも関連性が深いのが特徴です。

【教育心理学】
人間の発達に不可欠である『学習』は、心理学では、体験や観察などから知識・技術・態度・価値観・思考力を身につける事であり、生涯にわたって獲得し続けるものであるとされています。教育心理学は『教育の課程において動きを見せる心を心理学の知識と方法によって理解・解明していく学問』です。

【発達心理学】
発達心理学とは『人間の生涯の観察から発達の法則を発見使用とする学問』です。人生を乳幼児・児童・青年・老年と4つのステージに分け、それぞれの時期における心の動きや知能及び人間関係の発達などを学んでいきます。また、障碍児・者の発達臨床や保育の実践にも深く関わっています。

【認知心理学】
認知心理学は『認知を人間の情報処理過程とみなして進める学問』です。人間の情報処理の仕組みを大きく、知覚・思考・言語・記憶の4つに分け研究を進めており、コンピュータの処理モデルを構築する事や、それを用いて人の認知モデルを再検証する事等も研究内容に含まれています。

【犯罪心理学】
犯罪心理学とは『犯罪行為をする時の人間の心の動き、働きなどについて研究する学問』です。応用心理学の一分野で、心理学の中でも特殊な分野となっています。精神分析理解などを通して人間の心に潜む異常性や本性を知り、犯罪行為の予防・再犯防止・犯罪者の社会復帰などに役立てるべく取り組まれています。

【社会心理学】
社会心理学とは『対人相互の作用の観点から人間の行動を科学的に究明する学問』です。国際化や高齢化、情報化、環境問題が日常生活にどのような影響を与え、人間同士の相互関係を変容させていくのか、その中で発生する問題をどのように克服するべきかを研究していきます。

【産業心理学】
産業心理学とは『「組織と人間の関係」「消費と人間の関係」「健康と人間の関係」という観点から問題点を浮き彫りにし解決策を講じていくための学問』です。現実に起きているさまざまな事象を研究するところから解決のための具体策までを研究していきます。

【人格心理学】
人格心理学とは『性格や人格形成に関係する要因を多角的に研究する学問』です。性格心理学とも呼ばれ、臨床心理学の基礎たる領域です。

【家族心理学】
家族心理学とは『家族との関係性が及ぼす影響について学び、問題把握や原因解明・解決するための学問』です。夫婦関係・結婚と家族の形成・親子関係・子離れ・少子化など研究対象となる問題はさまざまです。

【災害心理学】
災害心理学とは『災害と人間心理の関係を研究する学問』です。災害という不可抗力において影響を受ける人間の心理的反応、突発的な事態に遭遇した際の人間の行動心理、抱える心的外傷などを研究する事で二次災害の予防やパニック防止に繋げていきます。

【青年心理学】
青年心理学とは『もっとも変化の激しい青年期における人間心理を研究する学問』です。今まで与えられてきた社会や親の価値観と自身が模索する価値観に葛藤し、反抗や批判といった過程を経て自己実現へと昇華させていきます。第二次成長期も相まって心身ともに激しく揺れる時期の、複雑な心理を解明していきます。

【知覚心理学】
知覚心理学とは『視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感から外部の情報を取り入れるプロセスや、メカニズムの解明を目的とした学問』です。医学や生理学、計算幾何学のみならず人工知能やコンピューターについても学び、人間の体と心のシステムを研究していきます。

【健康心理学】
人間の健康とは性格・価値観などの個人的要因だけではなく、会社や学校、地域社会といった外的要因からも影響を受けています。健康心理学とは『健康を心理学の視点から研究する学問』です。医学や看護学、保健学、体育学、栄養学などと密接な関係を持ち、研究の成果は人々の健康に直接関与しています。

【動物心理学】
動物心理学とは『人間も動物として捉え、人間と動物の共通する部分及び異なる部分について研究する学問』です。動物自体に視点を置くものから人間の発達などのために動物を研究する分野、生物学的・神経科学的な観点からの研究などを行います。

【スポーツ心理学】
スポーツ心理学とは『スポーツする人の技術を効果的に向上させ、持ちうる能力を最大限に引き出すための方法を研究する学問』です。インストラクターになるためには必須の学問で、生理学の他、効果的な緊張状態を高める方法・過剰な緊張を緩和させる方法、メンタルトレーニングなどを通して改良改善の研究を行います。

【環境心理学】
環境心理学とは『人間と環境のよりよい関係を実現すべく、意識や行動面から心の動きを研究する学問』です。環境と人間の心理は密接に関わっています。環境問題や環境犯罪心理学、空間デザイン心理などを通して人間心理への影響などを研究していきます。

 

どのような資格を取得できるのかを知っておきましょう。

心理学の大学を卒業すると、どのような資格を得ることができるのでしょう。心理学科の学生は、学部卒業後日本心理学会に申請する事で『認定心理士』の認定証を受けることができます。

認定心理士は国家資格ではありませんが、心理学の専門家として職に就くために必要とされる最低限の基礎学力と技能を取得しているという証明なります。また、上位資格を取得するための基礎資格にもなるものです。

心理学の大学を経て大学院に進学する事で取得できる資格として最も代表的なものが『臨床心理士』です。指定校大学院博士前期課程を修了する事で申請することができるようになり、書類審査・筆記試験・面接試験などによって合否の審査がなされます。

この他に、在学している心理学の大学・大学院での専攻によって取得できる資格や条件が変わって来ます。心理学の大学を検討する際は、学科・学部を専攻することで得られる資格についても調べておくと良いでしょう。

 

資格取得後の就職先について知っておきましょう。

ここでは卒業→資格取得後に就く事ができる職業についてご紹介します。

【公務員としての心理職】
公務員扱いの心理療法士として職に就きますが、合格率5%前後と狭き門です。

【科学警察研究所 研究員】
国家公務員Ⅰ種の心理職です。心理学的知見及び技術の面から犯罪捜査に関わります。近年の合格率は3%前後といわれている国家公務員Ⅰ種試験に合格している事が条件です。しかし欠員補充の募集しかないため、募集すらない年度が何年も続くという事もよくある話です。

【家庭裁判所調査官】
近年の合格率3%前後といわれる家庭裁判所調査官補Ⅰ種試験の合格している事が必須条件です。採用された後は研修所にて2年の養成訓練を受け、修了後家庭裁判所調査官に任命されます。

【法務教官】
少年院の教育部門や少年鑑別所の鑑別部門などに所属します。募集の際は男性は法務教官A、女性は法務教官Bという採用枠で実施されています。合格率は5%前後となっています。

【法務技官】
家庭裁判所から少年鑑別所へ送致されてきた少年に対して心理検査や面接等を実施します。心理学関係の大学院修士課程修了(見込)が必須条件です。欠員補充の募集しかないため、募集自体がない年度が続くことがあります。

【科学捜査研究所研究員】
各都道府県警察本部に設置されており、警察職員としての心理職という位置づけのもと犯罪捜査資料に関する鑑定業務や心理鑑定などを行います。各都道府県で募集要項が異なっていますが、基本的に欠員補充のための募集であるため、採用枠は全国で毎年1~2名程度といったところです。

【心理判定員:相談員】
地方公務員上級の心理職として、各都道府県や政令指定都市自治体の管轄のもと、児童相談所や精神保健福祉センターで相談者に対して心理検査を実施し、判定結果をもとにカウンセリングを行います。受験資格や採用条件は自治体によって異なり、基本的に欠員補充による募集であるため、募集自体がない年度が続く事もあります。

【病院における心理職】
「心理査定のみを請け負う」「精神障碍者(程度は軽度から重度までとさまざまです)のカウンセリングや心理療法を担当する」など、職務内容が勤務する病院によって異なるのが特徴です。しかし臨床心理士の資格があっても必ず常勤で勤務できるとは限りません。

【スクールカウンセラー】
子供のカウンセリングの他、教師や保護者を交えた相談活動なども行います。募集元である教育委員会によっては各県の臨床心理士会との連絡を通じて人材確保をしているため、公募ではない場合が多いだけでなく、基本的に非常勤+1年ごとの契約による勤務となります。

【民間でのカウンセラー】
民間で開業している心理系カウンセラーとして業務に就きます。都市部ほど就職先は多いとはいえ、狭き門である事には変わらないようです。必ず資格を活かした専門職を、となるとかなり難易度が高くなるのがネックです。心理学の大学卒業後は一般企業などに就職し、その先で学んだ事やノウハウを活かす人も多いのが現実です。

 

収入がどのくらいになるのかお伝えしましょう。

いざ職に就いた時のお給料って気になるところですよね。だいたいの目安をご紹介しましょう。就職先によってこの限りではない事をご了承ください。

【教育分野】
スクールカウンセラーの場合、関東一都六県、政令指定都市だと時給3千円~5千円前後といったところです。教育相談所ならば嘱託常勤:週4~5日勤務で月給20~25万くらいと言われています。

【医療分野】
常勤ならば週5日勤務で月給20~25万+ボーナス、保険完備などといった条件での採用が一般的ですが、そもそも常勤での採用枠自体が少ないのが現状です。非常勤だと日給7千円~1万5千円といったところです。

【私設の相談機関】
カウンセリング1件2千円~3千円程度。歩合制のところが多く安定にはかける部分があるでしょう。

【福祉分野】
常勤採用で月給17~22万程度。枠は比較的広いとはいえ、福祉業界自体の給与水準が他分野に比べて低いのがネックです。賞与や各種手当の有無が収入を大きく左右します。

 

いかがでしたか。

心理学の大学で有意義に学ぶために知っておいていただきたい事をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。実際の心理学の大学や大学院では統計学、データ解析、実験などが多いので、研究に興味がある方の中には大学から大学院にすすみたいと思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

専門職に就くこと自体はなかなか難関ですが、学んだ知識などは職種問わずありとあらゆる場所で応用することができます。また、取得できる資格も強みになりますし、基礎があるので、いつでも改めて勉強しなおし、高みを目指すのも比較的楽になるでしょう。

在学中はレポートや課題などに追われる事もありますが、目的があればそれもまた喜びとなります。あなたが「コレだ!」と思う道をぜひ見つけて下さいね。

 

まとめ

心理学の大学で後悔しないために知っておくべき基本情報

・ 心理学では具体的にどんなことを学ぶのか知りましょう。
・ 16に分類されている心理学について知っておきましょう。
・ どのような資格を取得できるのかを知っておきましょう。
・ 資格取得後の就職先について知っておきましょう。
・ 収入がどのくらいになるのかお伝えしましょう。

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