自宅に招いたママ友達が、延々と愚痴を吐き出していった。お姑さんからの電話で、子育てについて長いお説教を食らってしまった。…ママ友達が帰った後、お姑さんからの電話を切った後、どんより暗い気持ちをひきずりため息が止まらなくなってしまったことはありませんか。抱え込むあなたの性格は、相手を拒絶できない優しさの証拠です。無理に直そうとしなくていいのです。
でもこのままではストレスで胃に穴が開きそう…。そんな時は驚くほど簡単な方法で、『ため息地獄』から抜け出すことができるのです。ヒントは野生動物の危機管理能力。厳しい自然の中で生き残ってきた動物たちの知恵で、心をすっきり浄化しましょう。
『いやな感じ』という感覚を見逃さない。
よく「自分は霊感がある」と言う人がいます。ある限られた空間に入った途端、他の人が感じない、とても嫌な「気」を感じるタイプの人です。霊感の存在を知らない人から見れば「何を言っているんだ」と一笑に付すところでしょう。
しかしこの「いやな感じ」には自然界の大事なおきてがかくされているのです。たとえば小動物の巣が、何者かに荒らされたとしましょう。そこに狩りに出ていた仲間たちが戻ってきた。不思議なことにその仲間たちは巣の中に入る前に、危険を察知し、もう二度とその巣には近寄ろうとしないという光景がしばしば見られます。
これは、フェロモン(pheromone)がその効果を発揮したといえます。フェロモンとは動物や微生物が体内で生成し、体外に分泌する生理活性物質のことです。一般にフェロモンというと「性フェロモン」を指すことが多いのですが、実は性フェロモンのほかに「道標フェロモン」「集合フェロモン」「警報フェロモン」というものが存在しています。
その中で警報フェロモンは、いわば危険な状況を仲間の個体に知らせ、むやみに近寄るなというメッセージの役割を果たします。あなたの『いやな感じ』という漠然とした不快感や『この部屋には何かがいる』と感じる霊感と呼ばれるものは、もしかしたら以前嫌な思いをした人がそこに残して行った、あなたを守るメッセージかもしれないのです。
『いやな感じ』それをキャッチしたらそこには近づかない。その場から直ちに離れる。それは動物として正しい行動なのです。
一見根拠のない「感覚」に目を向け、自分の感性・直観を磨く。
先ほど述べたように、今まで根拠がないと思っていた不安感や不快感には、動物的で本能的な根拠があることが解明されてきています。ならば今まで、気のせいだと流していたその感覚を研ぎ澄ますよう心がけてはいかがでしょう。
これまでのあなたの穏やかな性格は、一度キャッチした『警告』に気づかぬふりをし、抱えきれない荷物を背負いがちだったのではないでしょうか
。気付かぬふりをしてはいけないのです。鈍感を装ってはいけません。それらがあなたのため息地獄の源です。何か嫌な予感がするときは、そこに近づいてはいけません。何か殺気を感じた時には、すぐにその場を離れてください。
感を働かせる訓練を重ねることで、本来備わっていたはずの動物の本能を呼び覚まし、眠っていた能力を覚醒させるのです。そしてトラブルに巻き込まれない性格・体質になれば、科学的根拠のもと自然とあなたの運気は上がってくるのです。
顔を上げる
あなたがどんなに楽観的な性格を持っていたとしても『ため息地獄』の中では知らぬ間に下を向き頬杖をついているでしょう。時には両手で顔を覆ってしまうかもしれません。
しかしそれは事態をますます悪化させます。まずは顔をあげることです。顔は「気」を感じるアンテナです。顔を上げ目を開け、耳を澄ませば、多くの情報をキャッチできます。
お坊さんの剃髪は宗教的意味合いや社会的意味合いのほかに、このアンテナの感度を上げることを目的としているとも言われています。アンテナである顔(頭)を上げておくだけで、危険を回避できるのですから、おのずから運気はどんどん上昇します。
新鮮なものを食す
動物はグルメです。余計な狩りをせず、基本的に体に必要なものしか摂りません。また植物はとても優れていることにお気づきでしょうか。植物は自分で動けない分、綿毛によって種を遠くまで飛ばす能力を獲得したり、酸性土壌の赤土から逞しく育ちたわわに実をつける生命力を持っています。
わたしたち人間の「食べる」ことの意味は、そういった動物や植物の、すばらしい生体エネルギーをいただくという行為なのです。食べるごとにわたしたちの体の中に記憶されていく動物の知恵や植物の知恵に感謝し、新鮮なものを多種多様にいただくことで、わたしたちの動物的な勘=本能は更に研ぎ澄まされていくのです。
体の中の多くの命の記憶が、わたしたちを危険から遠ざけ、いつも見守ってくれるのです。新鮮なものを食すことで、運気は当然上昇します。
朝、外に出る。
性格的に引きずりがちで落ち込みがちの方は、まず、朝、太陽の光を浴びることです。朝起きて太陽の光を浴びると、一日のリズムが決まります。
リズムが決まるということは自律神経のバランスが良くなるということです。朝、おひさまのもとで活動すると、脳内セロトニン神経が活発化します。
脳内セロトニンが不足することでうつ状態が誘発されたりキレやすくなったりするのは研究により証明されていますから、まずは朝30分、外に出て陽の光を存分に浴びてください。それはあなたの野性を呼び覚ます絶好のチャンスでもあります。
セロトニンを活性化させ、自律神経を整え、本能の力を目覚めさせる…つまり、朝、外に出るだけで、低空飛行状態だった運気は一気に上昇気流に乗ることができるのです。
シャワーを浴びる
密教や神道の修行の一つとして行われている滝行は、宗教的意義がある一方、そのマッサージ効果も注目されるところです。手軽に体験できるものではありませんが、毎日のシャワーはその簡易版だと言えるでしょう。皮膚感覚を鍛えることにより、外界からのメッセージに敏感な体質は作れます。
そしてもうひとつ、直前まで体にこびりついていた不快なメッセージ「警告フェロモン」をいったん洗い流し、リセットさせるという重要な意味もあるのです。まっさらな状態になってこそ、新たに出会う「妙な空気」や「危ない雰囲気」を敏感に感じ取ることができるのです。周りからは心配性な性格だと笑われるかもしれません。
しかし、心配性という武器を放棄したのは、生物界では愚かな人間だけなのです。誰になんと言われようと、堂々と心配性な性格を貫いてください。敏感に警告メッセージを感じ取り、ため息地獄から回避してください。あなたの運気上昇は、あなたがいかに敏感かにかかっています。
そのために、シャワーで全身の皮膚感覚に刺激を与えましょう。シャワーを浴びれば運気は上がる。これも「気のせい」ではなく、立派に根拠があるのです。
窓をあけて、お掃除をする
さて、最後になりましたが、意外や意外、ここで推奨するのは掃除をすることです。その中でも拭き掃除が効果大。それはなぜか。ご説明しましょう。最初に述べたように、動物は危機を感じた時に警告フェロモンを大量にまき散らします。
あとから来る仲間に警告するためです。では、あなたのおうちのリビングでママ友達が長々愚痴ったら、そしてそれをきくあなたのストレスが最大値だったら、どうなると思いますか?
リビングの壁や床はママ友達の警告フェロモンとあなた自身の警告フェロモンでべったり汚れているのです。電話でお姑さんに叱られたあとのため息は、そこに残ったあなた自身の警告フェロモンにやられてしまっているのです。どこかの詩人ではありませんが「見えないけれどあるんだよ」です。
まずはその汚染されて淀んだ空気を外に出すため、窓をあけましょう。そして床や壁を、徹底的に水ぶきしましょう。危険察知の能力は必要ですが、察知してしまった危険を未来永劫ずるずるとひきずることはないのです。感じ取ったらすぐに対策を立てる。逃げることが正解かもしれないし、万全の態勢で戦うことがベターなのかもしれない。
しかしその後は、直ちに空気の流れをよくし、見えぬストレスの素「警告フェロモン」をしっかりふき取ってしまうのです。こうすれば、あなたの性格はどんどんアグレッシブになり、運気は上がっていく一方です。
食べること、シャワーを浴びること、日々のお掃除…何も特別なことはないのです。今まで自然にやってきた日常のあらゆる動作を、この機会にもう一度ふりかえってみましょう。知らぬ間に自分自身をいたわっていたことに気づいたでしょうか。
それがあなたが持っている「危機回避の本能」なのです。今日、このからくりがわかったからには、更にひとつひとつの動作に意味を見いだし、運気を確実に上昇させていけることでしょう。『丁寧に生活すること』それはあなたを幸せへと導く、いちばんの近道です。